このページは、もともと掲示板にソースカツ丼の話題が登場し、その補足として作成したのですが人気がでてしまったので、この度、めでたくFileNoを付ける事にしました。 では、改めまして福井県が誇るヨーロッパ軒のソースカツ丼を紹介しよう!!
普通、カツ丼は「玉子でとじてあるもの」と御思いでしょうが、福井でその常識は通用しません。福井のメシ屋でカツ丼を頼むと、大概ソースカツ丼がでてきます。ソースカツ丼とは、その名の通り、カツにソースがかかっているだけの丼です。玉子とじのカツ丼を食べたい場合は「おばちゃん、タマカツね。」と言わなければいけません。福井で「普通のカツ丼。」なんて言うと、間違いなく「ソースカツ丼」がでてきます。普通の定義とは、大変曖昧なものなのです。よって、県外の方が、予備知識もないままカツ丼を頼むと「なんじゃこりゃぁ〜。」という事になります。 で、そのソースカツ丼ですが、美味しいんです。なかでも「ヨーロッパ軒のカツ丼」がずば抜けて美味しいんです。コーベにお住まいのS谷さん他、名古屋のE崎さん、仙台のsadaさん、群馬のHさんも気に入ってくれました。その他、爆風スランプのサンプラザ中野さんもコンサートで来福したさいは必ず食べるそうです。しかし、初心者の方は「ヨーロッパ軒のカツ丼」を食べる時は必ずむせます。ふたを開け、カツを口に運ぶさい、蒸気とともに上がってくる特製ソースを、おもいっきり肺に吸い込み「ムフッ」っとむせます。福井県民はこの「ムフッ」を聞いて、「あの人は県外から来た人だ。」と見抜きます。さらに、県外に住んでいる福井県民は、帰省した際、絶対(ちょっち大袈裟か)「ヨーロッパ軒のカツ丼」を食べます。これを食べて「あぁ、福井に帰ってきたんだ。」と実感するのです。私も以前はそのくちでした。あと、海外旅行に行って和食が食べられない生活が続くと、福井県民は「ヨーロッパ軒のカツ丼が食いてぇ」と漏らします。それくらい、「ヨーロッパ軒のカツ丼」は地元民に愛されているのです。
ここになぜか、ヨーロッパ軒がだしているパンフレット(?)がある。ソースカツ丼の魅力を伝えるため、なるべく要約せず忠実に紹介してみよう。 まず、最初、目につく文字は「カツ丼の元祖は福井にあった!」である。ほんまかぁ〜?と疑いたくなるが、とりあえずおいておこう。先はながい。中央の上部2行に渡って「カツ丼の歴史がヨーロッパ軒の歴史です」と書かれている。そして、その下にはのれんを模した絵があり、右側に「西洋御料理」中央に「SINCE 1913」左側に「ヨーロッパ軒」とある。のれんの下には牛とコックが融合したような不思議なマークが書かれている。色盲テストみたいなデザインだ。そして、目くるめくソースカツ丼の写真を想像しながらパンフを開くと、そこには「おぉー、文字がいっぱい...。」見る気が失せてしまった。しかし、ここで諦めては、「ヨーロッパ軒のカツ丼」の魅力を全国の皆さんに伝える事ができない。使命感に燃えたワシは、一字も漏らさず読んだ後、写経ならぬ写パンフをするのであった。
カツ丼は大正10(1921)年2月、早稲田高等学院の学生・中西敬二郎さんが考案した、というのが定説である。この丼メシはよほど日本人のくちにあっていたのであろう。二ヶ月後には、東京銀座や日本橋の食堂が早くも品書に取り入れ、夏には玉子とじカツ丼の姿となって大阪道頓堀に現われたという。 もっとも異説があって、大正六年に、『(早稲田)正門前の鶴巻町を少し行った右側』の『余りパッとしない食堂』でソースカツ丼を食べたという早稲田高等予科(当時)学生の証言もあり、また、『どんぶり探偵団』は、その食堂の主人・高畠増太郎さんの存在をつきとめている。ドイツでの料理修行を終えた高畠さんは、大正二(1913)年に東京で開かれた料理発表会で創案のソースカツ丼を披露し、早稲田鶴巻町の自店で売り出したのだ。カツ丼の先駆者は高畠さんなのである。と記しても、同時代に先駆者であった中西さんの栄誉を傷つけることにはなるまい。
文春文庫『ベスト オブ 丼』
(1990年刊)より
フゥ、疲れた。写パンフも結構大変だ。しかし、ここで疲れていてはいけない。まだ先がある。 左のページには「あまりパッとしない食堂」のご主人、「高畠さん」の顔写真が、なんとカラーで載っているではないか。「おぉ、この方のお陰でソースカツ丼を食べる事ができるのかー。」ワシは写真を見ながら思わず拝んでしまった。そして、その隣には、また長い文が書かれている。なんだかだぶっている個所もあるぞ。しかし、これは重要だ。ヨーロッパ軒のソースカツ丼の秘密が惜しげもなく披露されているからだ。この内容は、ぜひ皆さんに知って頂きたい。さぁて、写経、写経。ちがった、写パンフ、写パンフ。
福井では常識! カツ丼の概念を変えたソース味。 これがヨーロッパ軒の始まりでした。
当店創始者、高畠増太郎がドイツ・ベルリンの日本人倶楽部で6年間の料理研究の留学をを終え(天皇の料理番の秋山徳蔵氏も同期)明治45年帰国。ドイツ仕込みのウスターソースを日本人の味覚に普及さすべく苦心を重ね、創案致しましたのが、翌大正2年東京で開かれた料理発表会にて日本で初めて披露しました『ソースカツ丼』でございます。 薄くスライスした上等のロース肉を、目の細かな特製パン粉にまぶし、ラード・ヘッドでカラリと揚げたカツを、熱々のうちにウスターソースをベースに各種の香辛料を加えた秘伝のタレにつけ、熱い御飯にタレをまぶした上にのせたカツ丼です。油臭さがなくサラリとしたした歯触わりはもちろん、ツーンとした甘み&酸味が醸すまろやかな口当たりは、どなたにもおいしくお召し上がりいただけます。この『ソースカツ丼』が味わえるのは、日本広しと言えども、ここ福井の『ヨーロッパ軒』だけ!越前ガニや甘エビと並ぶ、福井ならではの名物の1つとして人気を博しています。
しかし、特製のパン粉に秘密があるとは知らなかった。あの薄いコロモを噛んだときのサクッとした感触はパン粉にあったのか。残念ながらタレは秘密か〜。どうりで、他の店はこの味がだせない訳だ。 そして、パンフの先はまだまだ続く。その下には小史が書かれている。これもヨーロッパ軒を知る上では重要だ。さっそく、写パンフしよう。
小史
昭和14年敦賀分店をノレン分け第一号店として開店以来、優秀な調理人にノレン分けを行い、現在では福井12店・敦賀6店・春江・丸岡・神明の計20店舗でグループを構成。県内外を問わず、多くのお客様から親しまれる店としてご愛願いただいております。
そうか、関東大震災がなければ福井にこのカツ丼は伝わらなかったのかぁ。長年謎とされていた店の名前の由来もようやくわかった。この小史の横には、モノクロで創業当時の写真が貼付されている。看板が「軒パッローヨ」となっているところが時代を物語っている。 そして、パンフの裏面を見ると、あのカツ丼の写真が...。ここにあったのね!!あぁ、食べたい。その気持ちを堪えて、さらに先に進もう。その写真の下には「お土産にお持ち帰りもできますヨ!!」と書かれている。最後の字は片仮名の「ヨ」だ。ヨーロッパ軒の最初の文字とかけているのだろうか。そっかー、お持ち帰りもできるんだ。知らなかったぁー。こんど、テイクアウトしてみよう。よく見ると写真のカツに向かって黄色い矢印が2本...。そこにはこうある「ポークの”め”を意識してまで作られた元祖の風格ぞ!!」「ソースはドイツ仕込み!!特製ウスターソース。」元祖の風格か〜、”め”を意識してまでか〜。”め”ってなんだろう。肉の筋の事かな〜。いずれにしろ、「恐れ入りました」って感じである。
ここで、終わりと思いきや、このパンフはさらに続く。パンフはA3でも、A5でもB5でもない不思議なサイズの紙を折りたたんでできていたのであった。 という事で、パンフレットはほぼ全文を紹介した。「ヨーロッパ軒のカツ丼」の魅力は伝わっただろうか?最後に写真もないこのページを終わりまで見てくれた「あなた」に感謝します。そして、福井のソースカツ丼を食べたくなった「あなた」、そう、「あなた」にはテイクアウトしたカツ丼をお送りして差し上げます(本気にしないように)。温かいソースカツ丼を食べたい方は、福井まで来てください。店まで私が案内します。そして、初めてソースカツ丼を口にした「あなた」は、蒸気で「ムフッ」っとむせた後、そのカツ丼の美味しさに酔いしれるはずです。さぁ、食べにくるがよい。ヨーロッパ軒のソースカツ丼を!!
END
さらにカツ丼を追求したい「あなた」は『SHEEP TOWN』かなへさんの カツ丼倶楽部にアクセスしよう!!
P.S 福井の三代珍味の一つ「秋吉の焼き鳥」というのもあります。これもイケル。 Deep throat
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